無気力で無責任で自分勝手な主人公に、何故これほど感情移入するのかよく分からない。
僕自身の中にもそういうところがあるからだろうか。
ボビー(ジャック・ニコルソン)はクラシック演奏の名門一家に生まれるが、その道には進まずその日暮らしのような生活を送っている。恋人のレイ(カレン・ブラック)に妊娠を告白されても、覚悟がつかない。
ある日姉から父親が脳卒中で倒れたと聞かされ、何年か振りで故郷に帰る。そこで兄嫁と関係を持つが、
「自分も仕事も他人も愛せないあなたが、なぜ愛を求めるの?」と強烈になじられる。
口のきけなくなったなった父に、
「自分がいると周りが不幸になるから、家を出たんだ。」と涙ながらに告白する。
高2で初めて観て以来、何度もここで泣いてしまう。
公開されたのが1971年で、当時のアメリカの空気感が映画全体を支配していた。社会と戦わず、ひたすら逃げることを選ぶ主人公に共感する若者が大勢いたと思う。もちろん僕もその一人だ。
レイをガソリンスタンドに残したまま、行きずりのトラックに乗せてもらうところで映画は終わる。
切なくてやるせないラストだが、いつまでも心に残る。
