公開時でなければ理解しにくい映画がある。
中年になって初めてこの作品を観た友人が、奇妙で不道徳な映画だと評していた。
泥沼化したベトナム戦争・若者たちの政治活動というその頃の雰囲気が理解できないと
この映画はよくわからない。
当時の若者たちはこの映画を支持した。花嫁を奪い取るという妄動に拍手を送った。
権力への抵抗の姿をD・ホフマンに投影した。
『政治に体を張るのもいいけど、恋に命を賭けてもいいんだ、
というのが監督のメッセージじゃないの?』と妻が言っていた。
当時観ていないと、こういう考えは出て来ない。

プロデューサーはロビンソン夫人の役を、健全なアメリカの象徴的女優であるD・デイと考えていたが、
あっさりと断られたのでA・バンクロフトをキャスティングした。