2012年09月29日

祭りの準備


僕が二十歳の頃に封切られた、高知県中村市を舞台にした作品である。。
シナリオライターになることをひたすら夢見ている青年と
その町の人々、日々起こる出来事、これらが生き生きと描かれている。

監督は『龍馬暗殺』の黒木和雄、脚本は中島丈博で自伝的要素が強い。
出演は、原田芳雄、江藤潤、竹下景子・・・。
かなり低予算で作られているらしいが、決して安っぽくない。
むしろそのことが、かえって質を高めているようにも思う。

たしか梅田の映画館で観たように記憶している。
酔っ払った原田芳雄と江藤潤がバスに乗って、車掌に
『親戚2枚のぉ!』という場面では拍手が起き、場内が沸き返った。
映画の良さはまさにこういうところにあると思う。
家でDVDを観ていては、こんな一体感は味わえない。

『シンドーさんという偉いシナリオライターが誰でも一本は傑作が書ける、
 自分の人生を題材にすればいいのだ、と言っていた。』と江藤潤が語る場面がある。
シンドーさんとは先日亡くなった新藤兼人監督のことだと後年知った。

そして殺人を犯した原田芳雄が、旅立つ主人公をいつまでもバンザイをしながら見送る
ラストシーンは心に残る。
数あるATG製作の映画の中で、一番の傑作だと思う。

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posted by @せ at 17:47| Comment(0) | 映画だっ! | 更新情報をチェックする
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