
A・ヒチコックを敬愛してやまないブライアン・デ・パルマが、『サイコ』のオマージュとして撮った作品である。全篇、ヒチコックを彷彿とさせる場面が次々と流れ、ファンとしては堪らない興奮を覚える。
ある中年女性が、美術館で知り合った行きずりの男と彼のアパートで情事に耽る。
何気なく開けた引き出しから、男が性病であることを診断した書類が出てくる。
逃げるように部屋を出ていく彼女。
だが指輪を忘れたことに気付き慌ててエレベータに乗り込むが、扉が開いた瞬間彼女は何者かにナイフで
惨殺される。
このようにショッキングな出だしで始まり、ラストはどんでん返しで終わる。
ブライアン・デ・パルマは出来・不出来が極端な監督で、これは結構いい出来だと思う。
『アンタッチャブル』のような大作ではないが、氏のセンスの良さが存分に発揮された作品である。