2012年11月04日

私のお気に入り  世界の名建築篇 その3

『ファンズワース邸』

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『バルセロナパビリオン』の設計者である、ミース・ファン・デル・ローエの作品である。
シカゴ郊外に週末住宅として建てられ、近代建築の傑作の一つとされている。

施主は独身の女医さんで、ミースに恋心を抱いていたらしい。彼は熱心にこの仕事に取り組んだ。
現場にも足繁く通い、鉄骨の納まりやディテールを丹念に研究した。
彼女はてっきり自分に好意を持って、最高の家を造ろうとしているのだと思っていた。
だが、高層ビルの設計を請け負っていたミースはその下準備のために、この家で実験をしていたのだ。

それを知った彼女は、全面ガラス張りによるプライバシーの露出と予算の超過を理由に訴訟を起こす。
可愛さ余って、憎さ百倍という奴か、結局裁判はミースの勝利で終わる。

このエピソードは様々なことを教えてくれる。

1.絶対に施主との間に恋愛感情を持ち込んではならない。また、そんな素振りを見せてもいけない。
2.建築家と施主は、先生と生徒の関係に似ている。先生にとって生徒はクラスの中の一人だが、
 生徒にとって先生は一人しかいない。ここにギャップが生じる。
 だから、建築家はその施主のために全力でぶつからねばならない。または、そういう態度を見せ続けねば
 ならない。
3.住宅はなるべくガラス張りにしないこと。プライバシーも問題であるが、何といっても日本の夏は暑い。
 温室になってしまう。
4.予算を超過してはならない。
5.女医さんには気をつけろ、特に独身の。





posted by @せ at 10:57| Comment(0) | 建築設計あれこれ | 更新情報をチェックする
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