2012年10月12日

どんでん返しの名画たち その1


サスペンスや詐欺ものにはどんでん返しが付き物だが、出来の良い作品に出会えることは滅多にない。
その数少ない良品の中で、僕のオススメをご紹介します。

『スティング』
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オスカーの作品賞もとった、映画史に残る傑作。アメリカンニューシネマの金字塔『明日に向かって撃て』のスタッフ・キャストが再集合して撮った詐欺もの。
出演はP・ニューマン、R・レッドフォード、R・ショー・・・・・
脚本担当のD・S・ウォードは大学生の時すでに第1稿を完成している。
R・レッドフォードは孫との散歩中に立ち寄ったレンタルビデオ店で、この作品に出演していたことを思いだし借りて帰ったそうだ。当時多忙を極めていて、試写も観ていなかったらしい。

『シックスセンス』
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見終わった後に、必ずDVDを巻き戻すことになると思う。えーっ、そうだっけ?と言いながら、ボタンを押すことになる。
ホラーとしても秀逸だし、母と息子の物語としても見ごたえ十分である。
出演はB・ウィリス、H・J・オスメント、O・ウィリアムズ、T・コレット・・・・
特に、少年のお母さん役T・コレットの名演が光る。
監督はインド系アメリカ人のM・ナイト・シャマラン。この後も作品を作り続けているが、これを超えるものは未だ無い。



posted by @せ at 20:55| Comment(0) | 映画だっ! | 更新情報をチェックする

2012年10月11日

アマデウス


三角関係のもつれから、老人施設で刃傷事件が起きることがある。
それほど嫉妬というものは厄介で、歳を重ねても枯れることはないのだろう。
才能に対する妬みもそれ以上に深刻であることを、この映画は教えてくれる。
(もちろんテーマはこれだけでは無いが。)

「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト・・・」
自殺を図り、精神病院に運ばれたアントニオ・サリエリ(F・エイブラハム)は、神父に一体誰を殺したのか
と問われ、重い口を開く。
天才ゆえに、誰からもその音楽が理解されないモーツァルト(トム・ハルス)を唯一崇拝していたのは、
サリエリだった。
しかし、いつしかその天賦の才に嫉妬を感じ、彼を殺そうと目論むようになる。

この作品にはいくつかの見せ場があるが、モーツァルトの妻であるコンスタンツェが、夫に仕事を世話
してほしいと頼みに来るシーンが秀逸だ。
彼女にスコアを見せて欲しいと頼み、一枚づつ食い入るように見つめるサリエリ。
モーツァルトによるオリジナルの譜面には、たった一箇所の書き直しもない。
完全に頭の中で出来上がっているのだ。
そして彼の紡ぎ出す音は神の声そのものである。敬虔なクリスチャンだったサリエリは、そこで神と対峙する道を選ぶ。「あんたの作ったあの怪物を叩き壊してやる。」と。

音楽に生涯を捧げ、妻も娶らず勤勉に創作するサリエリと、無礼で下品で女癖の悪い、まるで子供のような
モーツァルトとの対比が見事である。

映画は一度観れば十分なものと、何度も体験したくなるものと2種類に別れる。
間違いなく『アマデウス』は後者に属する傑作である。

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posted by @せ at 00:16| Comment(0) | 映画だっ! | 更新情報をチェックする

2012年10月10日

めぐり逢い


大人の振る舞いとは何かを教えてくれる作品。

画家のニッキー(ケーリー・グラント)は旅の途中、歌手のテリー(デボラ・カー)と出会い恋に落ちる。
それぞれ恋人がいるのだが、1年後にエンパイア・ステート・ビルで再会することを約束して別れる。
そして当日。ニッキーがいくら待ってもテリーは来ない。閉館まで頑張るが、とうとう彼女は現れない。
テリーは来る途中で交通事故に遭ってしまったのだ。

数年後、再会する二人。当然あの日のことが話題になる。
「ごめん。急用があって、行けなかったんだ。」とニッキー。
「そう・・・。私はずっと待ってたのよ。」とテリー。
そして、テリーの車椅子を見てニッキーは全てを悟る。

中学生の時に日曜洋画劇場で初めて観たが、お互いに嘘をつくこのやりとりが理解出来なかった。
たしかに当時の僕には早すぎた。
相手に負担を掛けない心遣いこそが大人の振る舞いである、と分かったのはだいぶ後になってからのことである。

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posted by @せ at 00:04| Comment(0) | 映画だっ! | 更新情報をチェックする