2012年11月03日

私のお気に入り  世界の名建築篇 その2

『バルセロナパビリオン』

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建築を勉強し始めた頃に目にしたバルセロナ・パビリオンは衝撃だった。
こんな美しい建物が世の中にあるのだろうかと思った。
設計したのはミース・ファン・ローエ、近代建築の三大巨匠の一人である。
スーッと伸びた屋根スラブは、まるで重力から開放されたかのようである。
柱は極端に細く、何の重さも負担していないように見える。
そして壁はどこまでも続いていくように感じる。
1929年に建てられたとはとても信じ難いモダンさである。

ミースは柱と梁によるラーメン構造の均質さが全ての機能を包み込むという「ユニバーサル・スペース」
を提唱し、そのコンセプトが近代合理主義と相まって世界中を席巻することになる。
そのせいか、現代建築の退屈さはミースによるものだと考える人も多い。
たしかに功罪あるだろうが、バルセロナ・パビリオンを見る限り氏の果たした役割は計り知れないと思う。




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2012年10月31日

私のお気に入り  世界の名建築篇 その1 

『落水荘』

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フランク・ロイド・ライトはル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと『近代建築の三大巨匠』と
呼ばれる。
幼い頃に母親の英才教育によって、その天才的な造形力を身につけたと言われている。
若くして売れっ子建築家となり名声をものにしていたが、40過ぎの頃に妻子を捨てて施主の奥さんである
チェニー夫人とヨーロッパへの駆け落ちを決行する。
2年後に帰国するが、そのスキャンダルによって仕事は激減し、さらに追い討ちをかけるように事件が起きる。気の狂れた使用人がチェニー夫人と子供、弟子達を斧で惨殺し、自ら服毒自殺をしたのだ。
失意のうちに日本で帝国ホテルの設計に携わるが、最後まで見届けずに帰国してしまう。

そんな後半生の中で生み出されたのが、世界建築史に燦然と輝く『落水荘』である。
その時はすでに60代後半となっていた。
施主は滝の見える場所に建てたいと思っていたが、ライトは滝の上を選ぶ。
岩盤がそのまま室内に露出するが、それがかえって野趣味のある面白い空間を創り出している。
外観はバルコニーなどの水平要素を白のペンキ塗りとして、壁の垂直要素を石張りとした。
このように要素を分節化することで、自然の中で凛とした風格を演出している。
まさに建築の矜持を見る思いである。


posted by @せ at 22:34| Comment(0) | 建築設計あれこれ | 更新情報をチェックする

2012年10月19日

近い将来、図書館は無くなる!?

「例えば、本の情報が全部デジタル化されれば、図書館という物理的な施設は必要ないですよね。
駅の改札も不要かもしれません。」(日経アーキテクチャ2012・9-25号P4)

チームラボ社長・猪子寿之氏は、空間や都市もスマートフォンと同様にネットワークとソフトウェアに付随してハードを設計しなければ本質的なイノベーションは生まれない、と説き上記の発言となる。

IT業界の寵児と言われるだけあって、氏の考えは示唆に富んでいる。確かに、社会は近い未来そうなっていくのかも知れない。
だが建築設計者の端くれとしては、本当にそれでいいのかと思うのだ。

図書館は本を借りるだけの場所ではない。本に囲まれた空間に身を置きたい、馴染みの人に会いたい、美人の職員と話したいと思って通う人もいるだろう。
朝夕に改札の駅員さんと交わす挨拶を楽しみにしている人がいるかも知れない。
レジを通さない買い物が可能になれば、店員さんとの会話が減るのは間違いない。
目的以外のところに、人は喜びを見出しているものだ。

人は他者との関係なくしては生きられない。
これから迎える超高齢化社会においては、ますますそれが肝要になってくる。
デジタル社会におけるコミニュケーションとはどうあるべきかが、まず問われねばならない。

デジタル社会とは1か0の世界である。目的を持っている場合には即座に機能する。
だが生身の世界においては、必ずしも目的があるとは限らない。
偶然ある作家の著作を本棚で発見することがあるのは、図書館という物理的な空間のおかげである。
散歩の途中、細い路地に洒落た喫茶店を見つけることもある。

どこまでそういったアナログ的な喜びや感動を残せるかが、これからドラスティックに変貌しようとしている都市・建築のテーマになっていくのではないだろうか。

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G・アスプルンド設計の図書館

posted by @せ at 20:15| Comment(0) | 建築設計あれこれ | 更新情報をチェックする